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  • 守田@Phoenix

社員と「危機感」を共有する仕組みづくり ~“家族主義経営”から“ONE TEAM経営”への脱皮~



コロナショックで最大の危機感を抱いているのが経営者。

中小企業経営特有の大きな特徴に「家族主義経営」という考え方があります。


「家族主義」は、良い意味で社長の強い使命感から

「全社員とその家族の生活を守る」ために、と云う和魂から、

社長が自宅を担保に入れてまでして何としてでも社員の給与を滞りなく支払うために、

日夜必死の努力を続けていることに顕著に表れていますが、

残念ながらそういった美談が社会で語られることはほとんどありません。


一方、社員の方にとっては「給料は当たり前に支払われるもの」と捉え、

「頂けて有難い」と感謝の気持ちを持って給与を受け取ることもなく、

未来永劫変わることなく受け取れるものと思い込んでいるのが悲しい現実です…。


こういった社長と社員の関係は別の言い方をすれば

「親は子を守るものという、親の庇護の下にある子供の甘え」と同じであり、

企業内での本来の社長と社員の関係ではないと思っています。


本来、企業は「経営目的(経営理念)を実現するために集まった同志」でなければならず、

2019年の流行語大賞にも選ばれた “ ONE TEAM ” と云うチーム目標達成のために、

一人一人が自分に課せられた役割責任を果たすためにベストを尽くす

ラグビーチームのような存在でなければならないと信じています。


そんな親の愛に甘え切った危機感の全くない子供のような社員を、

企業が今立たされている厳しい現実の中でチーム目標である

「自社を存続させること」を何としても達成するための

強いメンバーに仕立て上げることが急務であり、

それを達成する手段として多くの企業が注目しているのが

“従業員エンゲージメント” という発想であり、

従業員エンゲージメントを巧くマネジメントツールとして機能させてゆくことが、

人事評価の適正運用に掛かっているということをぜひとも知っておいていただきたいと思います。


コロナショックに襲われ売上/利益の激減により先行きの見えない不安に見舞われる中、

労働分配率(粗利益に占める人件費比率)が50%超にもなっているというような

経営状況になっていれば、どんな厳しい環境下にあっても、

人件費を変動費化させ非常事態で「入るを計って出(いずる)を制す」給与支払体系へ

移行させることは、経営にとって喫緊の課題であり最優先事項であることは明らかです。


経済活動がキチンと回っている時でさえ、常にリスクと隣り合わせなのに、

今回のコロナショックは自粛要請にすべての経済活動がストップしてしまったような状況で

入るもの(売上/利益)がない中で、出るもの(費用/支出)は待ったなしに迫ってくるという

最悪のシナリオの中で、給与に関しては『全員一律』○○%減額と云うような

人事施策を打ち出すことが有能な社員の流出を加速する要因にもなりかねない環境下で、

貢献度とか実績に基づいた調整を図っていくことも急務になってきています。


そのための第一歩としての、社長から新入社員まですべての社員が

「今のままではいけない!」と云う「同一の危機感」を抱き、

その危機感をバネにしてコロナショックからの起死回生を図っていく道筋の

第1ステップの具体的な手順を以下に記していきます。


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① 現状を正しく認識させる


まず一番最初にやらなければならないことは、

自社の経営がどういう状態にあるのかをリーダーである社長が

社員に対して、キチンと具体的に説明することです。


ほとんどの会社では、自社の経営状況を社員に説明することをしていませんが、

前期の損益計算書(P/L)の中身を、

社員にもが分かり易いように説明することを強くお薦めします。


このプロセスを踏まないと信頼を得られないどころか

信用を失う可能性もあるので丁寧な説明を行うことが特に重要です。


とは云うものの、実は社長自身が

決算書をキチンと理解できていないというケースも多々あります…。


社長という肩書で、経営の根本に関わる問題でも

今さら税理士に聴くこともできないと恥をかくことを恐れ

誰にも聞けずに悩んでいる場合には遠慮なく直接お問合せください。


P/Lは、経営改善を考える原点となる大切な資料となりますので、

何が貴社の課題であるかを含めて簡易的な診断を含めてご支援させていただきます。


② 問題形成力を向上させる


現状を正しく認識させることが出来たら、

次はそういった状況下で自社の経営が「他人事」ではなく

「自分事」として捉えられるような問題意識を持てるよう、

自分の仕事を通じて自社の経営を改善していくために、

どんなことが出来るのかを考えさせる機会を設けるようにしてください。


「自分の会社の社員にはそんな難しいことを考えられる社員なんていない」と

最初から考えさせることを諦めてしまう社長も多くいらっしゃいますが、

もしこれが出来ないようであれば

今後の自社の労働生産性向上を期待することは出来なくなります…。


今回のような社会全体が大きな危機的状況にある中でこそ、

真剣に一人一人の社員に自分の仕事がどうあるべきかを考えさせる絶好の機会だと捉えて、

ぜひとも全員に考えさせる機会を設けて下さい。


そのことが社員の意識レベルを確認することにもつながり、

ポテンシャルの高い社員を見出すチャンスにもつながっていきます。


その際に、一人一人に投げかける質問は前述のP/L資料をもとに、

下記の4つの視点から必死に考え抜いてもらうことにぜひチャレンジしてください。


自分の仕事を通じて

  1. 固定費(人件費など毎月発生する経常的な経費)を削減するための努力

  2. 変動費率(原材料など仕入コスト)を下げるための努力

  3. 売上量を増やすための努力

  4. 付加価値(利益率)を高めるための努力

この4つの視点は、利益を大きくする方法として

これ以外にはないという視点になっていますので

今回のコロナショック対策ばかりでなく、

今後の経営革新の視点として、発想の原点として活用してください。


グラフの説明


まずは社員の皆さんに一番基本的な上記の計算式

「利益 = 売上高 ─(変動費+固定費)」を理解してもらった上で、

下記にある損益分岐点図表を使いながら、

自分たちの日々の仕事の中で発生している費用が

固定費と変動費に分類することができ、

固定費にはどんなものがあるのか、変動費とはどういったものになるのか

ということをイメージしてもらってください。




1. 固定費(人件費など毎月発生する経常的な経費)を削減するための努力


売上があってもなくても毎月決まって発生する費用が固定費。社員の皆さんの給与、会社の家賃、水道光熱費などなど。固定費ラインを点線まで下げると図の赤い部分(利益)を大きくすることができます。






2. 変動費率(原材料など仕入コスト)を下げるための努力


販売する商品の原材料費変動が変動費。原材料の調達コストを下げることで、図の赤い部分(利益)を大きくすることができます。







3. 売上量を増やすための努力


損益分岐点を超えてからは、売上量を増やせば増やすほど図の赤い部分(利益)を大きくすることができます。








4. 付加価値(利益率)を高めるための努力


同じ商品・サービスの単価を引き上げる(値上げする)と図の赤い部分(利益)を大きくすることができます。そのためには「高くても欲しい!」とお客様に思ってもらえるような魅力を持ってもらえることが必須条件になります。







③ 課題解決に向けたオープンなコミュニケーションルートを確保する


そして、危機的な経営状況にある中で、

自分自身がやり遂げなければならない課題が鮮明になり、

改善テーマまで見つかったら、

個々の社員がその改善活動に取り組み続けるために、

職場の上司との間で課題業務として取り組み続けられるような

オープンなコミュニケーションルートを確保する必要があります。


今、目の前に或る個々の課題業務解決に向かって、

一人一人がどんな状況にあるのかを社長自身がクラウド活用などによって

直接いつどこでも掌握することが出来るようになれば、

社長だけが危機感を持つのではなく、

全社員が健全な危機感を持ちながら自己の目標達成力を磨き続ける

社内環境が整備されることになります。


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以上、正しい現状認識~問題形成力の向上~課題解決に向けた

コミュニケーションルートの確保という3つのステップを整備してゆくことで、

社長から社員まで全員が現状に安住することなく

『同一の危機感』を抱き続ける好ましい組織風土形成の第一歩を踏み出すことになります。


社内にこういった全社員の間に健全な危機感を醸成し、

その課題解決に向けて一人一人の社員が弛まぬ努力を続け、

それが個々の社員の成長につながり、

社員の成長の総和を会社の成長につなげてゆくために、

一人一人の努力を適正に評価することのできる

人事評価制度を運用してゆくことがとても重要になってきます。


そして、社員にその成長・貢献度合いに応じて昇給・賞与として

還元してゆく仕組みが給与制度として整備されることで

、働く社員にとっても会社にとっても幸せな職場環境が整備されていくことになります。


コロナショックは、まだその入口に入ったばかりの状況で、

これからその荒波をONE TEAMになって乗り超えてゆけるような

社内環境整備を真剣に検討するチャンスの場にしていただけることを祈念しております。

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