top of page
  • 守田@Phoenix

物価高の中で“賃上げ”実現のカギは?


仕事始めとなる今朝のNHKニュースでは、物価高の中で成長のカギとなる「賃上げ」を実際に行っている企業での成功事例が紹介されました。


① 年功序列型給与体系からジョブ型雇用への移行


  長く勤続すれば給与は少しづつでも上がっていくという日本的経営の代名詞とも云える 

  年功序列型賃金から、最近耳にする機会の多くなった「ジョブ型雇用」に切り換えるこ

  とで賃上げに成功している社員5,000名のカメラレンズメーカーでの成功事例です。


  ここでは、全員が一律に賃上げを実現しているのではなく、努力し成果に繋げている社

  員では20%の賃上げに成功するものの、成果につながっていない(恐らく努力も認めら

  れていない)社員は、給与もダウンするという理にかなったところまでしっかりと紹介

  されていて、これを観ていて膝を叩いた経営者も多いのではないでしょうか?



ここでは、大企業での「ジョブ型」導入の成功事例として紹介されていましたが、経営者の間でも正しい「ジョブ型」に対する認識は高まっていないように思えます。



「ジョブ型」という言葉は、ここ数年日本でも聞かれるようになってきましたが、欧米などでは採用を行う際の募集職種内容を明示するために「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」が一般的になっていて、労使間での仕事(ジョブ)に対する契約の大前提になっています。

一方、日本では仕事内容を明確に決めることなく長期(終身雇用制度)を前提に雇用を続けて来たため「職務記述書」なるものが存在せず、ジョブ型雇用に切り換えることが出来ずに立ちすくんでしまっているというのが、日本企業の現状だと云えます・・・


しかし、中小企業でもしっかりとした制度構築を行って適正な人事評価さえ実現できれば導入可能な制度だということを知ってもらい、導入を前向きに検討して欲しいと思いました。


② IT化による生産性向上


2番目の事例は、土木工事関係の中小企業が測量機器や建設重機に関してIT化を促進し、

省力化を行ったことで、一人当たりの生産性向上を実現させたことで、結果として社員一人当たりの賃金が上昇した事例でした。



「賃上げ」とは、一人当たりの付加価値が向上した「利益分配」として行われるのが正しい認識で、一人一人がどれだけ付加価値向上を実現できたのかを人事評価で適正に評価し、報酬として適正配分で還元していくということで、KKD(勘と経験と度胸!)の経営から科学に基づく経営に進化させた、とても分かり易い導入成功事例でした。


③ 若返りで業績アップ


3番目の事例は、金属部品加工の中小企業が若手社員の活力が業績向上に実現し、賃上げに成功した事例でした。




もともと金属部品加工など職人技と云われる中高年社員が現場を仕切っているような中小の町工場では、年功序列で給与が高止まりした会社で加工技術が属人化されてしまっていて

高い人件費負担から社内に利益が残らないという会社も多いのではないでしょうか?


加工技術などを属人化することなく、技術伝承を行いながら若手社員を成長させていくことで技術の世代交代を進めながら社員の成長と会社の経営安定を実現させていく事例として参考になることも多いと思います。


ただ、ここで一点気をつけなければならないことは、若い社員だから給与が安く済むという発想ではなく、創出利益に対する適正配分として年齢勤続に関係ない公正な給与配分を行っていくということです。


そのためにも、自社での適正労働分配率がどのくらいなのかを常に把握しながら、総額人件費管理を徹底していき、社員の継続的な成長と会社の発展を実現していくことが重要です。



ここまで、「賃上げ」に成功した企業の事例を3つほど紹介してもらいましたが、これをより多くの国内企業に広めていけるかどうかが、2023年の日本経済復活のカギになるということを考えると



岸田政権には、日本経済を再生させるために「年功序列型」社会から「ジョブ型」雇用へと

大きく舵を切るために必要不可欠な『労働時間の長さが給与の高さ』につながるような労働基準法を見直し、『労働成果の多さが給与の高さ』につながるジョブ型雇用へと転換を図り歴史に名を遺すような総理大臣になっていただきたいと思います。



最後になりますが、賃上げ”は、実際に企業を経営していく経営者の立場と、生活を支える収入を得ようとする社員の立場では、昔から相反するもので「労使対立」となる最大テーマとされていますが、番組を見ていて極々限られた成功企業の事例紹介でしたが、こういった意識改革を経て本当の意味での「成熟した労使協調」企業が急増し、働く意欲の高い人たちが報われる社会になっていくことを願わずにいられませんでした。

bottom of page